空が澄み清々しいようやく秋を感じる頃となってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は口腔がんについてお話させていただきます。

① 口腔がんとは

人の体は様々な部位にがんが生じます。
「口の中にできるがん」には、舌にできる「舌がん」、歯ぐきにできる「歯肉がん」、頬の内側にできる「頬粘膜がん」などがあり、これら口腔内にできるがんを総称して「口腔がん」と呼んでいます。

男女比は3:2と男性に多く、好発年齢は50~60歳代です。
人口の高齢化に伴って口腔がんにかかる人数も増加しつつあります。

口腔がんの中では舌がんが最も多くみられ、全がんの約1%、全頭頸部がんの約4割を占めています。

② 原因は?

口腔がんは他のがんと同様にまだ原因解明されていない点も多くありますが、特に喫煙、飲酒や、口の中の不衛生、慢性的な刺激等が関係していると考えられています。

(1) 喫煙

口腔がん最大の危険因子は喫煙です。タバコの煙には多くの発がん物質が含まれています。日本人を対象とした報告では喫煙者は非喫煙者に比べて口腔がんに罹患する確率が約4.3倍になるとされています。

(2) 飲酒

飲酒は、喫煙に次ぐ危険因子です。日本人では、非飲酒者と比べて週1日飲酒する者は約2.2倍のリスクがあります。その中でも1日平均2合以上飲酒する人では約3.8倍のリスクがあります。

(3) 口の中の不衛生、慢性的な刺激

歯垢や歯石の放置により重症化した虫歯や歯周炎は、がんのリスクと考えられています。
また、合っていない義歯の使用や、尖った歯が舌や頬の粘膜に当たる口腔内の刺激が長期に亘って慢性的に加わることは口腔がんのリスクとされています。

③ 口腔がんのセルフチェック ✓

口腔内で特に日ごろ気を付けたいのが下記のような症状・状態です。 1つでも「ある」にチェックが入った方は、歯科医院の受診をおすすめします。

(1) 粘膜が「赤く」なったり「白く」なったりしているところはないですか?

ない・ある

【ある場合】粘膜が赤くなったり白くなったりしている状態が長く続いている場合には「紅斑症」や「白斑症」の可能性が考えられます。

(2) 治りにくい口内炎はありませんか?

ない・ある

【ある場合】口内炎は通常であれば2~3週間程度で自然治癒します。1か月以上治らない場合には「扁平苔癬」や「白斑症」など前がん病変も疑われますので歯科医院で精査しましょう。

(3) なかなか治らない「はれ」や「しこり」はないですか?

ない・ある

【ある場合】口の中の肥大したところや触ってやや硬くなったりしているところがある場合のも精査が必要です。

(4) 合わない入れ歯を無理して使っていて違和感がありませんか?

ない・ある

【ある場合】合っていない入れ歯や、かむと痛みがある入れ歯の長期間の使用はお口の中の粘膜を継続的に刺激し、がんが発生リスクとなりますので歯科医院で調整してもらいましょう。

④ 口腔がんの予後

近年の知見では、口腔がんの5年生存率は約60~80%とされています。

初期のステージで発見できれば、侵襲の低い治療で後遺症が残ることはほぼなく、5年生存率は90%以上と報告されています。しかし進行してしまった口腔がんでは、手術により顎の骨を切除する必要性があり、切除範囲が広い場合には、食事や会話が困難となり日常生活に大きな支障をきたすことになります。

このため他のがんと同様に早期発見が何より重要です。

口腔がんは、舌・歯ぐき・頬粘膜など目視しやすい場所にできるため検診による早期発見が可能です。「歯の検診」と共に、年に一度は「口腔がんの検診」も受診をして、お口の機能と健康を保ちましょう。

浦安市では令和元年より40歳以上の市民の方が無料で受診できる「口腔がん検診」を実施しています。

市内の登録歯科医院においてご予約のうえで検診を受けることができます。
検査にかかる時間は約15分ほどです。

ご希望される方は下記サイトをご参照のうえ、お近くの登録歯科医院または浦安市歯科医師会へご連絡をお願いいたします。

https://urayasu-dental.or.jp/about-us/list

https://www.city.urayasu.lg.jp/fukushi/kenshin/kenshin/1025508.html

参考資料
・国立研究開発法人 国立がん研究センター
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8090.html