自分やまわりの口臭に気づいたら…

口臭というのはとてもデリケートで厄介な問題ですよね。自分自身の口臭が気になるのはもちろんのこと、家族や職場の同僚、友人など、他人の口臭に気づいたとしても、それを指摘するのは非常に難しいものです。私自身も、以前「子どもの口臭が気になるので、先生からさりげなく伝えてほしい」と保護者の方にお願いされたことがありました。相手の気持ちを傷つけずに伝えるというのは、とても繊細な対応が求められる場面です。

口臭の原因とは

では、そもそも口臭の原因とは何でしょうか?
その一つに「虫歯」があります。歯は非常に硬い「硬組織」からできていますが、虫歯が進行すると、そこに水分が含まれるようになり、柔らかくなります。この水分が、独特のにおいを発する原因となるのです。特に深い虫歯では、神経が腐敗し、より強い口臭を生じることもあります。

また、歯周病も非常に大きな口臭の原因です。歯周病は歯を支える組織に炎症が起こる病気で、進行すると歯周ポケットという隙間が深くなり、そこに細菌がたまりやすくなります。これらの歯周病菌は活動の過程でガスを発生します。そのガスのひとつが「硫化水素」で、これは温泉地の独特なにおい、いわゆる“腐った卵のにおい”に例えられます。これが口臭の原因となるわけです。

もちろん、日々の口腔ケアが不十分であれば、それも口臭の元になります。歯の表面に汚れがたまると、そこに細菌が付着し、「バイオフィルム」と呼ばれる膜(配管のぬめりのようなもの)を形成します。これは通常のうがいや簡単な歯みがきでは落とすことができません。このバイオフィルムが悪臭の原因となることも多いです。

口臭の予防・改善

では、どうすれば口臭を予防・改善できるのでしょうか。
まず基本となるのは、丁寧な歯みがきと補助的な清掃用具の使用です。フロスや歯間ブラシなどを使って、歯と歯の間の汚れをしっかりと取り除くことが重要です。しかし、どれだけ丁寧にお手入れをしても、実は約1割程度の汚れは残ってしまうといわれています。

そのため、歯科医院での定期的なメンテナンスが欠かせません。専門的なクリーニングや口腔内の状態確認、そして必要に応じたブラッシング指導などを受けることで、口臭の原因を根本から減らしていくことができます。

口臭は誰にでも起こりうる問題ですが、正しい知識とケアによって、確実に改善することが可能です。気になる方は、ぜひ一度歯科医院で相談してみてくださいね。