指しゃぶり、ツメかみ、歯ぎしり、弄舌癖(ろうぜつへき)【舌を動かす】、口呼吸など、口に関する子供の癖はさまざまです。原因も精神的な要素や生活環境などそれぞれ異なり、一概に論ずることはできません。しかし、このような癖が発育期に長期間持続すると、あごや歯並びに悪影響が出る可能性があります。
なかでも指しゃぶりはお口の癖の代表的なものです。これは、母親の胎内から始まっていると言われ、母乳を吸うための本能に結びつくものと言えます。子供の成長とともに徐々に減っていきますが、6歳児でも約10%の子供にみられるとの報告もあります。歯科医としては永久歯が生えてくるこの時期までにやめさせておくのが望ましいと思われます。指の吸い方によっても違いますが、たいていは上の前歯が押し出されていわゆる出っ歯の状態になります。ほかの癖でもそれぞれに応じた障害が出ます。
このような癖も大きくなると無くなることも多く、必要以上に神経質になることはありません。指にからしを塗る、針金を巻くなど強引に止めさせる方法もありますが、うまくいくとは限らず、また精神的にも好ましいものとは思えません。例えば、鼻の病気や情緒不安定などの要因があれば、改善できるものは改善してください。そして、まず子供が話を十分理解できることが大切で、しかるべき時期に焦らず、根気よく、長期にわたって説得することが必要です。