口元はにんげんの尊厳の源でありいのちの入り口、こころの出口です。文化的にゆたかな人生を楽しむためにも重要なからだの器官と言えるでしょう。いつまでも快適で美味しい食生活を営むためにも毎日の口腔ケアは欠かせません。
そうして近年では、少子高齢化ならびに人口減少社会が平成の次の時代に到来し、特にガンの罹患率が増えています。いまや日本国民の二人に一人はガンであるという統計があり、その中でも口腔がん(舌、歯肉、頬粘膜のガン)は、全体のガンの中の1%を占めています。形態と機能を保存して上記のゆたかな人生を過ごすためには、早期発見と早期治療が欠かせません。
千葉県の地形図を眺めると左側を向いたチーバくんが浮かび上がります。房総半島が体幹であり、野田や流山、いわゆる東葛地方が鼻先、浦安市はアッカンベ~をしているチーバくんの舌に相当するのです。
浦安市と浦安市歯科医師会では、協同して口腔がん健診を周到に準備して参りました。
具体的には、大学病院の口腔外科の先生にご教示頂いて、口腔がん検診ベーシックコース(病理、病態の概要、歯科医師会会員相互による細胞病理診断検体採集実習)、千葉県歯科医師会によるEラーニング(PC上での学習と検定試験)、口腔がん検診アドバンスコース、口腔がん検診アプリケーションの開発と実習を行いました。また、市民公開講座(地域で育むお口の健康@Wave101)では、啓蒙活動を経年に渡って行っております。
検診の実際は、問診、視診、触診を総合診断して検診結果を写真付きで、プリントアウトしたものを受診当日にお渡しします。口腔がんの好発部位である、舌、歯肉、頬粘膜を上下左右口腔内をくまなくカメラで撮影してクラウド上に集約します。個人情報や外部漏洩が起こらないように細心の注意を払っておりますのでご安心ください。その口腔内写真を大学病院口腔外科の専門医に迅速にダブルチェックをしていただいて、検査結果の精度を高めております。
40歳以上の浦安市民が対象で、費用はかかりません。保険証などの浦安市民である本人確認ができるものを持参して浦安市口腔がん検診協力医に事前申し込みの上で検査を受けられてください。おひとりさま、年に一回となりますが、検査結果次第で経過観察が必要になる場合もあります。ビックデータの集約は、AIによる学習を経てより瞬時のより確実な診断判定の確立につながるばかりか、2011年の東日本大震災のような大規模災害時の身元特定につながる貴重な資料として未来へのタイムカプセルの役割も果たすことになるでしょう。